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今から、六年前の五月八日の晩……。
その少年の姉が、
ススキノに有る『焼肉屋とら丸』付近の路上で、
何者かの手によって刺殺された…。
彼女は、少年にとって、
本当に自慢の姉であった。
姉は、少年よりも六つ年上…歳は離れていたが、
少年にとっては、一緒にいると安心できる大切な存在だった。
その姉が、
刺殺され、帰らぬ人となったのだ。
当時、少年は14歳…中学二年生であった。
そして、姉は20歳…大学二年生であった。
姉は、ススキノのとある喫茶店でアルバイトをしていた。
ある日の晩…
彼女から「アルバイトが終わった後に大学の友達と会うから、帰りは遅くなる」と、家に連絡が入り、その日、姉はそのまま家に帰って来なかった。
そして、
その日の晩…。
姉の遺体が、
ススキノで発見されたのである。
姉の死を知らされた父と母は、悲しみのどん底に叩き込まれた。
それは、少年も同様だった。
姉の死を知った、その次の日…。
少年は、家の近所の川べりに行き
そこで大声で泣いた。
悲しかった…。
悔しかった…。
実は…
少年には姉を殺した犯人について
心当たりが有ったのだ。
生前、姉は「ある男に、しつこく付きまとわれてる事」を少年に打ち明けていたのである。
何でも、ソイツはよほど姉の事を気に入ったらしく、
姉が嫌がるのもお構い無しに、何度もしつこく電話をかけて来て、
それを姉が拒否すると
今度は姉がいる大学に密かに押しかけて来たと言う。
姉は、
「あまり、周りの人に心配かけたくないから、この事は内緒にしておいてね」と、少年に口止めをし、少年もそれに従った。
そして少年は、
「ストーカー野郎なんて無視し続けてれば、そのうちに諦めるよ」と、姉の話をあまり真剣には、取り合わなかった。
そして…
彼女は、殺された……。
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