38【勝木】推理

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{1} 「失礼します!!」 と、明るい声で挨拶をしながら、勝木先輩が交番へと入って来た。 「あっ!」 「勝木先輩っ!」 彼の到着を待ちわびていた進也とユイさんは、思わず二人同時にパイプ椅子から立ち上がった。 それにつられたかの様に 同じくパイプ椅子に座っていた、港警部、倉木青年、警官も一斉に立ち上がった。 今…この交番の中には、 先ほど警官一人が夜間パトロールに出掛けたので、勝木先輩と合わせて計六人の人間がひしめき合っている。 「お待たせして、申し訳ありません!僕が、先ほどお電話した勝木です!」 勝木先輩は、一同に向かって深々と頭を下げた。 「いやぁ。待ちかねましたよ。中央署の港です。どうぞよろしく」 と、港警部が軽く会釈を返した。 「はい! よろしくお願いします! この度は、いろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!」 と、再び勝木先輩が頭を下げた。 「いや、まあ…。犯人の顔写真を撮ろうだなんて、あんまり無茶なマネは慎んで(つつしんで)下さいね」 と、港警部が少し渋い表情で言った。 「はい!すいませんでした!」 と、勝木先輩は更に謝った後に… 「倉木さん!お久しぶりです!お元気してましたか?」 と、倉木青年の前に行き、またもや頭を下げた。 それに対して… 倉木青年も軽く会釈を返したが、 「あの… 失礼ですが、どこかでお会いしましたっけ」 と、不審そうな表情で口を開いた。 「いやだなぁ。 僕ですよ!勝木雅彦です!勝木明美(あけみ)の弟の。忘れちゃいましたか?」 と、勝木先輩は笑顔で答えた。 「…え?」 と、倉木青年は両目を大きく見開いたが、 「おおーっ!!!」 と、すぐに喜びと驚きが入り混じった様な表情をして、大声をあげた。 どうやら、 倉木青年は、勝木先輩の事を思い出したようだ。
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