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「まず…」
と、勝木先輩は口を開いた。
「僕の推論をお話する前に…
皆さん、もう既にご存知かとは思いますが、
これまで起こった事件の一連の流れを一通り、整理したいと思います…。
まず、
今から六年前の五月八日の晩、『焼肉屋とら丸』付近の路上で僕の姉、勝木明美が何者に刺殺されました。
そして、その次の日の五月九日の晩には『さくら森林公園』である男子大学生が、やはり何者かに刺殺されます。
そして、
それから三年後の五月八日の晩には、同じく『焼肉屋とら丸』付近の路上で、ユイさんのお兄さんが…
そして、五月九日の晩には、またもや『さくら森林公園』で、ある学習塾の英語講師が刺殺されてしまいます。
更にそれから三年後の五月八日…つまり、昨夜も同様に『焼肉屋とら丸』付近の路上で若い男性サラリーマンが犠牲となり…
そして、今晩、五月九日の晩に『さくら森林公園』に、またもや通り魔犯が現れた訳です。
まあ、今晩の犯行だけは未遂に終わりましたが…
さて。
なぜか、この犯人は、ぴったり三年の周期で同じ日付、同じ場所で犯行を繰り返しているんです。
もちろん、
全ての事件の犯人が同一犯ではないという可能性も有りますが…もし、そうなら、ここまでの規則性が生まれるというのは、ちょっと考えにくい…
むしろ、同一の犯人が『何かの意図で定期的に犯行を行っている』と考えた方が自然だと思います」
一同は、
勝木先輩の説明を黙って聞いていた。
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