38【勝木】推理

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「ところで…」 と、勝木先輩は更に言葉を続けた。 「この一連の事件の発端となった六年前の事件だけに関しては、 ネット上に『ある噂』が流れました。 それは、 六年前の五月八日に刺殺された女子大生…つまり、僕の姉は生前、ある男子大学生からストーキング行為を受けていた。 それで、それに悩んだ姉が警察にその事を相談したのだが、 その相手のストーカーの男子大学生というが、警察に影響力が有る市会議員の息子だった為、警察は父親議員からの圧力を恐れて、 そのストーカーを逮捕できずにいた。 そして、その結果、僕の姉はストーカーの男子大学生に刺殺されてしまった。 それで、その事に腹を立てた姉の友人か知人が、 姉が殺されたその次の日の晩…つまりは、六年前の五月九日にそのストーカーの男子大学生を刺殺して姉のカタキをとった… というのが、その『噂』です。 まあ、この噂のどこまでが、果して真実なのかは僕にも分かりません。 ただ、実際に姉は生前、ある人物からのストーカー行為に悩んでいて、僕もその事について相談を受けた事が有ります。 当時、中学生だった僕には、何もしてやれませんでしたが…。 ちなみに、その男子大学生が殺された五月九日の晩… その日は、姉…勝木明美が殺された次の日の晩で、僕ら家族は、すぐにでも姉の葬儀を執り行いたかったのですが、 姉の遺体は司法解剖に回されてしまい、 五月九日の晩は僕ら家族全員、家で一晩中、悲しみに暮れていました。 ですから、僕の家族には、全員ちゃんとしたアリバイが有ります。 男子大学生を殺害したのは、僕ら家族ではありません」 と… ここで勝木先輩は、 一度、言葉を切ると、少し目を伏せた。 が、 すぐに顔を上げると、再び話をしだした。
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