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「それと、もう一つ。
実は、僕はこの交番に来る前にネカフェに寄ってその噂のきっかけとなった掲示板サイトのカキコミを実際に、見てきました。
すると、
そのカキコミをした人物は『同音異義語』を好んでカキコミの文章に多用している事が分かりました」
「同音異義語…っすか?」
と、進也が口を挟んだ。
「うん。進也。
『同音異義語』っていうのは、同じ発音でも、書く時に使う漢字やイントネーションで意味が違ってくる語句の事を言うんだよ。
例えば、
同じ『カキ』という発音でも、
果物の『柿』と、海にいる貝類の『牡蠣』とは、使う漢字も意味も違うだろ?
…さて。皆さん。
実は、生前の姉は大学で精神医学を専攻してまして、その関係だと思うのですが、
彼女は、頭の体操といった意味合いで、
その同音異義語を一種の言葉遊びとして、自分が書く手紙やメールに好んで多用していました。
かく言う、この僕も、姉から多大な影響を受けていますが」
あ…。
と、進也は思い出した。
そう言えば、
今日の日中に勝木先輩が自分に出してきたクイズの中にも、
『音楽』と『音学』ってのが出て来たな。
あれも、一種の同音異義語になるんじゃないかな。
勝木先輩は、更に言葉を続けた。
「そして、
例の噂の元となるカキコミをした人物も、
姉と同様に同音異義語を多用している…。
と、言う事は、
この人物は、普段から姉と親しい人物なのかも…と、僕は考えた訳です。
まあとにかく、
その人物は、例の噂を流して警察の怠慢を世間に広める為に、掲示板サイトにカキコミをしたと考えられますが…
しかし、犯人にとっては
そんな噂を流しただけでは、まだ飽き足らなかったんです。
そして…
遂には、もっと大胆な行動に出てしまった……」
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