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「…その、もっと大胆な行動というのが、今回の連続通り魔殺人だと、言うのかい?」
と、倉木青年が静かに聞いた。
「はい。僕は、そうだと考えています」
と、
そこで勝木先輩は、言葉を切り、大きく息を吸うと再び、口を開いた。
「殺人を繰り返し行って、それでも自分を逮捕できない警察を改めて嘲笑ってやろうと考えたのか
それか、六年前に警察がちゃんとストーカーについての相談に策を講じなかった事に抗議するという意味で、その後も引き続き殺人事件を引き起こし、警察の怠慢(たいまん)を世間に知らしめてやりたいのか、
そのいずれか…または、両方なのではないかと思います。
しかも、その上
この犯人は、わざわざ六年前の事件が起こったのと同じ日付、同じ場所を選んで犯行を繰り返しています。
これは、明らかに犯人が警察に対して挑戦を挑んでいると考えられ
それと同時に、犯人からの、メッセージとも受け取れます。
恐らく、
『お前ら警察があの六年前の事件の時、ちゃんと仕事をしなかったから、これからもまだまだ人が死ぬぞ。さあ、自分を捕まえてみろよ』という、
犯人からのメッセージです。
とにかく、
この犯人は『自分は六年前の事件の関係者だ』という事を伝えたがっているんだと思います」
何となく、重苦しい沈黙が、
辺りを包み込んだ…。
「さて」
と、勝木先輩が改めて口を開く。
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