38【勝木】推理

12/18
121人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「そうです」 と、勝木先輩は続けた。 「実は、ですね。 六年前の事件の関係者の中に、その『三年』という期間と、結び付く人物がいるんですよ」 と、ここで勝木先輩は 少し間をおいてから更に言葉を続けた。 「それは、 六年前の五月九日に、さくら森林公園で殺された男子大学生の父親議員です」 「へっ? ストーカーの父親議員っすか??」 進也は、 勝木先輩の話が、 突然、思いもよらぬ方向に行ってしまったので、思わず変な声をあげた。 勝木先輩は、言葉を続ける。 「そうなんだ。進也。 実は、男子大学生の父親議員の『議員としての任期の年数』が、 ちょうど、三年なんだよ」 「あのぉ…」 と、今度は交番の警官が小さく口を開いた。 「私の記憶では、市議会議員の任期年数は、 三年じゃなくて、四年だと思うんですけど…」 「あ!すいません! 僕の言い方が悪かったですね」 と、勝木先輩は言うと、 「ここで、僕が言っている『三年の任期』とは、 その父親議員が『息子の大学生を殺害されてからの残りの任期の年数』の事なんですよ。 ね?そうなりますよね?倉木さん」 と、今度は倉木青年に話を振った。 「あ…。確かに、そうなるね」 と、倉木青年が口を開いた。 「確か… 男子大学生の父親議員は 息子の男子大学生が殺害されるその前の年…つまり、今から七年前に選挙に立候補をして議員として初当選を果たしている。そして、その翌年の五月九日に息子の男子大学生が何者かに刺殺されてしまう訳だが… そうなると、その時点での父親の議員としての『任期の残年数』は、確かに三年という事になる。 でも、それが事件と何の関係が有ると言うんだい?」 「そう!そこなんですよ!」 と、勝木先輩は言葉を続けた。
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!