121人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「しかし」
と、勝木先輩は言葉を続けた。
「三年前、犯人が犯行を終えた後に、警察は全く六年前の事件との関連性について、気付く様子を見せなかったのです。
そこで、
犯人は、気が付いた。
三年間の期間を空けるというのは、捜査を撹乱するのに、持ってこいの方法だという事を…。
そして、そう考えた犯人はその次の犯行を、更に三年の期間を空けた昨夜、実行に移した。
と、そう僕は考えているのです」
と、
ここで勝木先輩は一度、言葉を切ると、更に続けた。
「実は、この事に関しては、先ほどお電話で港警部さんにお調べ頂くよう、お願いしてあります」
「うむ。確かに、勝木君の言う通りだったよ」
と、そこで港警部が口を開いた。
「六年前の事件の後、
しばらくしてからその父親議員が暴力団と何か不穏な動きをしているとの情報を警察はキャッチしていたんだが…
どうにも、完璧な証拠が掴めなくてね。
やっと、その証拠を掴んで逮捕できたのが、父親議員の任期が終わった…事件から三年後、という訳なんだよ。
捕まえた暴力団関係者が、父親議員から息子殺しの犯人を探すよう依頼されてた事を認めてるよ」
と、勝木先輩の推論を裏付ける発言をした。
「やっぱり!そうでしたか!」
と、勝木先輩は少し興奮気味に言った後、
「さて、
ここで一つ、またもや注目すべき点が有ります」
と、更に言葉を続けた。
「市会議員が暴力団関係者を使って個人的に犯人探しをしていたなんて情報は、
例えば、我々のような普通の一般人には、到底、キャッチできないような、レア情報なのではないでしょうか。
もし、そんなレアな情報をキャッチできる職業と言えば、
一部の議員仲間か、暴力団関係者…
そして、事件当時、確たる証拠が掴めなかったとは言え、警察関係者にも可能だったと言えます」
一同は、
勝木先輩の話を黙って聞いている。
最初のコメントを投稿しよう!