121人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「それと、もう一つ。
僕には気になった点が有ります。
それは、
今夜、起こった事件の時の話なんです。
今夜、僕達は、あの『さくら森林公園』で犯人と遭遇しました。
その時、
僕は、犯人を威嚇(いかく)するために、
『おい!警察だ!そこで何してるんだ!』と、カマをかけました。
すると、
それに対して、犯人は…
『まさか』と、口走ったんです。
何が、『まさか』なんだろう…と、僕はその犯人の言葉の意味を考えました。
犯人は
『まさか…警察が来るはずがないじゃないか!』とでも、言いたかったのでしょうか。
あの公園は、警官が定期的に夜間パトロールをしている場所です。
あそこで過去に二度も殺人を犯している犯人なら、その事を知らないはずが有りません。
と、なると、
犯人が言いたかったのは
『まさか…警察が来るはずがないじゃないか!今は警官がパトロールに来る時間じゃないのに!』
と、いう事だったのではないでしょうか。
つまり、犯人は、
警官の夜間パトロールの時間や、もしかしたらその経路までをも完全に把握していた人物…と、僕には、思えるんです」
と、ここで勝木先輩は一度、言葉を切ると、再び話し始めた。
「それと、犯人は、
あれ程の花見客が賑わう公園で、過去に二度も殺人を堂々と冷静にやってのけています。
恐らく、普段から行動力と判断力に優れている人物でしょう。
そして、ユイさんにトモエ投げをされても、地上に見事に着地するという芸当も、やってのけています。
その事から、抜群の運動神経をも合わせ持っている人物とも言えます。
さて。
ここで今、申し上げた事柄の全てを集約して…
そこから浮かび上がってくる、この事件の犯人像は…
優れた行動力と判断力、そして抜群の運動神経の持ち主で、
市会議員が個人的に人探しをするといった、レアな情報をキャッチする事ができる職業の人物。
そして、
警官の夜間パトロールの時間や経路を完全に把握できる職業の人物…」
最初のコメントを投稿しよう!