38【勝木】推理

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「それと、もう一つ。 僕には気になった点が有ります。 それは、 今夜、起こった事件の時の話なんです。 今夜、僕達は、あの『さくら森林公園』で犯人と遭遇しました。 その時、 僕は、犯人を威嚇(いかく)するために、 『おい!警察だ!そこで何してるんだ!』と、カマをかけました。 すると、 それに対して、犯人は… 『まさか』と、口走ったんです。 何が、『まさか』なんだろう…と、僕はその犯人の言葉の意味を考えました。 犯人は 『まさか…警察が来るはずがないじゃないか!』とでも、言いたかったのでしょうか。 あの公園は、警官が定期的に夜間パトロールをしている場所です。 あそこで過去に二度も殺人を犯している犯人なら、その事を知らないはずが有りません。 と、なると、 犯人が言いたかったのは 『まさか…警察が来るはずがないじゃないか!今は警官がパトロールに来る時間じゃないのに!』 と、いう事だったのではないでしょうか。 つまり、犯人は、 警官の夜間パトロールの時間や、もしかしたらその経路までをも完全に把握していた人物…と、僕には、思えるんです」 と、ここで勝木先輩は一度、言葉を切ると、再び話し始めた。 「それと、犯人は、 あれ程の花見客が賑わう公園で、過去に二度も殺人を堂々と冷静にやってのけています。 恐らく、普段から行動力と判断力に優れている人物でしょう。 そして、ユイさんにトモエ投げをされても、地上に見事に着地するという芸当も、やってのけています。 その事から、抜群の運動神経をも合わせ持っている人物とも言えます。 さて。 ここで今、申し上げた事柄の全てを集約して… そこから浮かび上がってくる、この事件の犯人像は… 優れた行動力と判断力、そして抜群の運動神経の持ち主で、 市会議員が個人的に人探しをするといった、レアな情報をキャッチする事ができる職業の人物。 そして、 警官の夜間パトロールの時間や経路を完全に把握できる職業の人物…」
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