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VII
数日が過ぎまた一年の呪文学の授業になった。先日アレックスは授業が終わるまで教室の外で待っていたことを思い出し、よかったら授業を見ないかとウェルナーは提案していた。
「聖騎士に魔法の授業を見られていいのかよ。親魔派って言っても魔法使い嫌いの人間もいるんだぜ。」
「おまえは違うだろ?おまえが違えば別にいいよ。」
ウェルナーの言葉を聞いたアレックスが頷いた。それを見たウェルナーが笑みを浮かべ教室の扉を開く。いつの間にかアレックスとも友達のように打ち解けていた。
「おはようございます。みなさん。」
ウェルナーとアレックスが教室へと入ると3人の見習い魔法使いも元気良く挨拶した。
「そろそろ塔の暮らしや、授業にはなれてきたでしょうか。」
「他の教授が厳しすぎま~す。」
「でも、先輩は優しいです。」
「宿題を少なくしてくれ~。」
レナ、ダレク、ジェスの3人がウェルナーの言葉に口々に反応をする。
どうやら3人は楽しく塔生活を送れているようだ。
先輩に言われ蝋燭を盗みにきたダレクも、その後はきちんとウェルナーの自室にまで取りに来るようになり、先輩から苛められるということも無いそうだ。むしろ蝋燭をうまく入手できたおかげで先輩と良好な関係を気づけているらしい。すばらしいことだ。
「それでは前回の復習から始めましょう。」
ぽんぽんとお喋りをやめるように手を叩き授業に集中させる。
魔法使いに重要なのはオン、オフの切り替えだとウェルナーは考えていた。遊ぶときは遊び、勉強するときは勉強をする。極度の集中力が必要な魔法の詠唱においてはそれが如実になる。
「前回は照明の呪文を教えました。この魔法は、ただ呪文を唱えただけでは白色の光源になりますが、今日はこれを自分のマナの色に染めるように詠唱してもらいます。」
「先生質問です。」
「何でしょう、レナ君。」
「どうしてそんなことをするのでしょうか。」
「魔法使いは自分の操れるマナを突き詰めることで、より強い魔法を操ることができるからです。例えばこの照明の魔法ですが、自分の色のマナを込めることで攻撃魔法にすることができます。見ていてください。」
予め用意していたフラスコを頭上に3つ放り投げる。フラスコが教卓に落ちる前に、ウェルナーは魔法を詠唱を始めた。照明の呪文は”魔の杖よ”だったが、それに言葉を付け加える。
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