一章 三人組

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見た目とはギャップのある言葉を、その桜の花びらのようなあいらしい唇から愛城さんはお吐きになった。ちなみに脳筋ゴリラとは、脳みそまで筋肉でできている筋肉馬鹿につけられる称号である。 「いやがってるわけじゃないよ・・・。」 ちょっと迷惑なだけで。と、続く言葉は愛城さんの興奮した声にかき消された。 「なになに、じゃあ喜んでたの?しまった~。あたしったら野暮な事しちゃったかしら。」 愛城さんは、頭に腐のつく女の子でもあった。 「そうだぞ、梨花。俺と昌平の邪魔をすんな。」 大吾の天然発言に、愛城さんのテンションは跳ねあがる。 「はいはい大吾、これが終わったら行くから。それに、そろそろ戻らないとまずいんじゃない?」 話があらぬ方向に進みそうだったので、僕が口をはさんだ。 「それもそうね。大吾、散らかしたプリントを拾ってから出て行ってね。」 教室にある時計を一瞥した愛城さんは僕に同意をした。たぶん、もう練習が始まっているだろう。一年がサボっていては先輩に怒られるかもしれない。 「しゃあない、約束だぞ昌平。待ってるからな。」 しっかりと、落ちたプリントを拾い終えた大吾はプリントの束を僕の机に置くとすんなりと去って行った。 3人の関係は、いつもこんな感じで。他愛の無いやりとりがそれだけで楽しかった。中学の時のようにうけを狙うわけでもなく、ただ言いたい事を言う。グループに入っている事の気疲れが全く起こらないのだ。 「実際どうなの?」 大吾が出て行ったあと、唐突に愛城さんが僕に尋ねた。言っていることがわからずに、僕は首をかしげる。 「大吾ったら、昌平君にべったりだし気があると思うんだけどなぁ。」 これ女の勘ね。っと愛城さんはくすりと笑った。
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