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家の前にロールス・ロイスが待機していた時点で、もしかしたら、と思っていたけれど。
羽田からプライベートジェット機に乗ってNYへと旅立つことになった。
クリーム色の革張りのソファーにゆったりと座り、雑誌を眺めるパリスを横目に、桜は窓の外に張り付くようにして外を眺める。
「……おじさまって、日本の首相よりすごい気がする」
ぽつりと零した桜に、パリスは小さく笑った。
「すごいのは黄家だよ。
これは、すべて黄家の持ち物だからね」
「そ、それは分かっているけど」
「それより、桜、何か食べたり飲んだりしないかい?
アイスクリームもあるよ。映画も観られるし」
「それより私、おじさまの若き日の恋バナを聞きたいな」
ふふっ、と笑って身を乗り出した桜に、
「恋バナ」
とパリスは目を丸くし、背後で待機している側近たちが小さく吹き出した。
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