天使の憂鬱

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「なんとなくね、今回は桜だけで行く方がいいなって思ったというか」 ややあって、ぽつりと零した馨に、樹利は「そうか」と優しく目を細めて相槌をうつ。 「だけど、桜がいないと静かになるし、ちょっと寂しいね」 「だな。でも、今日はシンが来るってよ」 「シンくんが?」 「桜が一人でNYに行って、お前が寂しい思いしてるんじゃないかって、心配したんじゃねーか」 そういう樹利に、馨は頬を緩ませた。 「まあ、だけどよ。 そんなシンの優しさに甘えて、ちょっとしたイタズラをしようか」 「イタズラ?」 「ああ」 ニッと笑う樹利に、 「な、なんだかそれ、楽しそう」 と馨は目を輝かせた。
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