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「俺も、『ツーカン』させられたことがあったな。お前の母親に」
懐かしげに目を細めるレオンを、桜は何も言わずに見上げた。
「俺も自信家で鼻持ちならなかった時、お前の母親に会って、その存在感に引きずり込まれて、『あんな小娘に』って悔しく思いながら、『自分はたいしたことないのかもしれない』って、思わされたよ」
「……ママに?」
「ああ、ほとんど素人みたいな世間知らずのお嬢さんが放つ存在感に圧倒された。
どうして、敵わなかったのかに気付いたのは、随分後だけどな」
「ど、どうして、レオンはママに敵わなかったの?」
と、桜は身を乗り出した。
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