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『――美咲、本当におめでとう!すごいよ!』
電話の向こうで興奮気味の声を上げている友人・野々山りお。
もう、十年の付き合いになる親友だ。
「ありがとう。
なんだか、色んなことがトントン拍子で怖いくらい。
この私がこれから受賞式なんて出ちゃうんだよ」
藤堂美咲は、そう言ってまだダンボールだらけのマンションの一室をグルリと見回した。
まだ、ほとんど何もない部屋の中、真っ赤なカウチの背もたれに、黒いドレスを掛けられている。
これから、受賞式に着ていく、ドレスだ。
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