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「総長は後ろに人は立たせないんだぞ!!なんたって総長だから!!」
「意味わかりません。」
あ、こいつ俺よりもバカだ。
なんだか恐怖なんてものの一瞬で吹っ飛んで、今までで一番冷静になれた気がする。
「尚ちゃんおひさー。」
「奏、と蒼先輩。」
奏がひらひらと手を振って、後から蒼先輩が素晴らしく爽やかな笑顔で俺の方へやって来た。
そーいや二人もfreyの人たちだったか。見えん。
「よく来たね。尚くん。」
「こんにちは、お邪魔してます。」
「ふふ、そんな畏まらなくてもいいよ。」
…ああ、なんか癒される。
俺も蒼先輩に釣られて笑うと、後ろから黒いオーラを感じた。
そこには少し頬を膨らませてる奏と恐ろしくこちらを睨んでいる零がいた。
「あ~~~お~~~」
「まあまあ、落ち着いて。」
蒼先輩が宥めるように奏の頭を撫でていた。
それに奏はちょっと安心したようだけどまだ複雑みたいで。
……なんかした?俺。
「尚。」
「うわっ、って、零?」
突然捕まれた左腕に逆らうことなく体が傾いて、軽々と支えるように俺は零の体へ収められた。
「…あんまり他の男と近付くな。」
「他の男って…蒼先輩だぞっ…むぐ。」
「そうやって、他の男の名前を呼ぶのもムカつく。」
押さえられた口。
零の掌の温かさが直に伝わって、少し緊張する。
焦ってるようなそんな瞳で見詰められては頷くしかあるまい。
零は俺の返事に一先ず納得したのかそっと手を離してくれた。
(……ヤキモチってとこ?)
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