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いくつかのショップのビニールバッグを手に、上機嫌でフードコートのベンチに座った。
夫の会社用のワイシャツやソックスも買ったし、四月から幼稚園に通う舞のお弁当箱と水筒と傘も買った。
本当は私の傘も新調したいけれど、言い始めたらきりがないからやめた。
満足のいく買い物が楽しめたのだ、良しとしよう。
普段なら選ばない炭酸飲料で喉を潤した。
ひりつく喉、でも弾ける泡と一緒に疲れが吹き飛ぶような錯覚さえ起こす。
傍らにある袋に視線を送ってニヤニヤした。
帰ったら見せびらかすんだから。
新しい傘、気に入ってくれるかな。
傘をさす舞の様子を想像し、また頬を緩めたとき。
…………急に寂しさに襲われた。
嫌になるくらい手を取られるけれど、キラキラしたシール、可愛らしい髪止めゴム、そんなちっぽけなもので、娘はこっちが嬉しくなる程の笑顔を見せる。
代わり映えのしない毎日。
けれども、日々こなす家事は同じでも、彼女が見せる顔は日々違う。
……今、パパと二人で何をしてる?
一杯笑ってるのかな。
それを知らずにいる現状が少し悔しくて。
今日は見ないと決めていた携帯を手に取った。
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