闇の中で

12/23
前へ
/30ページ
次へ
店を出てふらつく足の 私を支えながら タクシーの波に手を上げる 桐生の横顔をじっと見つめる。 こんなに綺麗な顔立ちなのに どうして桐生は結婚に興味が ないのかな?なんて思いながら。 「何?俺の顔に何かついてますか?」 「ううん、綺麗な顔だなって思って」 「それはどうも。 だけど葵さんも綺麗ですよ」 「それはどうも」 「何ですか?何かありました?」 「な…何も…ない」 「ふぅん…」 目の前に滑り込んで来たタクシーに 私を押し込むと、桐生も後から 乗り込んで運転手さんに 自分の家の場所を告げている。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1252人が本棚に入れています
本棚に追加