プラマイゼロ

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私の考え過ぎだった。 『忘れないで』なんて… 『葵…』なんて… 最後まで私の心を揺らした 桐生はやっぱりズルい男なだけで。 後ろから聞こえて来る 澤木さんの嬉しそうな声。 「じゃあ桐生さんのお仕事が 終わったら声かけて下さいね」 「ああ…」 パーテーションの向こうで 交わされる言葉すら 私の胸をチクリチクリと 刺して行く。 …私… 自分で思っていたよりも ずっと桐生に溺れていたのかな。
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