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20分後、マンションの駐車場に
滑り込んで来た月島さんの車。
やはり、律儀に運転席から
降りて来て助手席のドアを
開けてくれる彼の優しさに
じわりと温かさを感じながら
乗り込む。
「僕の我儘を聞いて下さって
ありがとうございます」
運転席に乗り込んだ
月島さんの言葉に
私は小さく首を振った。
「我儘なんて思っていませんよ。
こちらこそ気を使って頂いて
すみません」
お互いが見つめ合って軽く微笑む。
「あ…通勤電車に乗らない事を
桐生君は心配しませんか?
ちゃんと連絡しましたか?」
車を走り出させながら呟かれた
月島さんの言葉にまたチクンと
胸が痛んだけど…
私は穏やかに言葉を紡いだ。
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