消えない傷

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ポケットから携帯を取り出して その番号に指を滑らせる。 「もしもし…久しぶり。 今から会える?」 電話の向こうからは 3年ぶりの懐かしい声。 『智樹…? 何かあったの?』 「ちょっとね。 だから彩音に会いたい」 『相変らずだね、智樹は。 いいよ、どこに行けばいい?』 「俺ん家に来て。 もう移動する気力がない」 クスリと笑った彼女は 無言のまま電話を切った。 もう彩音とは会わないって 決めてたのに。 今の俺は、何かを壊したくて。 …いや… 自分自身を壊したくて たまらなかったんだ。
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