恋と街灯

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コロピオ通はそこそこ人が住んでいる。 アパートには子沢山の家族に恋人たちに芸術家に学生など慎ましい生活を余儀なくされている人々が身を寄せ合っている。 27番地の街灯から見えるアパートに、少女が鞄ひとつで越してきた。 半透明でないのに、陽の光に透けそうな程希薄な存在感であった。 確かに美しい少女だったのだが。 水面や揺らめく炎のように、捉えどころがなく曖昧な印象しか残す事ができない。 のちに少女の下の階に住む詩人が、彼女は真昼の星のようだ、と形容し、誰もが納得し首を縦に振ったという。
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