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風の強い日、コロピオ通26番地の窓が開いた。
少女の部屋だった。昨夜は特に変わった姿でなかったが、百合の花の匂いが27番地の街灯の所まで流れてきて、強い香水を付けていたことが分かった。
黄ばんだカーテンのなびく先に、27番地の街灯があった。
少女の目は27番地の街灯に吸い寄せられる。
街灯は会釈するように吊り下げられた標識の部分を揺らした。
少女は窓に肘をつき、蝋燭を吹き消すように溜息を吐いた。
溜息には甘い匂いが含まれていた。
それからゆっくり瞼を閉じ、同じだけ時間をかけて開けた。瞳の色さえ曖昧で、水色のようにも薄い緑色のようにも見えた。
潤む淡い色の目は薄荷の飴玉のようだ。口に入れるとすぐ溶けてしまいそうで、ひんやりと甘そうだった。
君は恋をしているのかい?
27番地の街灯はそう聞くように、キイ、と標識の板を傾げて音を立てた。
少女の口元は緩み、長い髪が繊細に揺れた。
微笑む少女は美しかった。
街灯は、頬を染めるかのようにぽっと光った。
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