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かなり無理矢理宿に泊まってもらった翌朝、宿の食堂でアレンと会話を交えて朝食を取る。
「──えぇっ!? ミュアって16才なんですか?」
「うん。 そうだよ?」
「てっきり、僕より年下だと思ってました……」
はは、と乾いた笑みを浮かべる私。
アレンは15才と、私より1つ年下だった事が発覚。
「そう言えば、クロスさんにも同じようなリアクションされたな~…」
「師匠!?」
テーブルから身を乗り出してアレンが急に立ち上がった。
「クロス・マリアン師匠……が、来てたんですか!?」
「う、うん……つい先日、旅立っちゃったけど」
尋常じゃないアレンの様子に、ちょっと驚きながらも肯定の意を込めて頷く。
「そうなんですか……師匠が。…ん? なんでミュアが師匠の事を知ってたんですか?」
「私も、超短期間だったけどクロスさんの弟子になってたの」
「そうなんですか!?」
驚愕の声を上げたアレンに、しーっと人差し指を唇に当てる。
「あ…すみません」
周りの人々に頭を下げて着席するアレンに、「私の部屋で話そう」と提案する。
「え、だ、ダメですよ! 女性の部屋に上がるなんて」
「そこぐらいしか、静かに話せるところないんだけど」
「で、でも…」
「いーから、ほら行くわよ!」
頑なに渋るアレンの手を引いて、自室に連れて行った。
床に座り込もうとするアレンを勉強机の椅子に座らせ、私はベッドに腰掛けて話を続ける。
「そっかぁ。アレンはもう3年も前からクロスさんの弟子だったんだ」
どうりで…戦闘にも慣れてるはずだ。
「ええ、ずいぶん苦労しましたよ…」
何かアレンが遠い目をしだしたので、話題を変えてみる。
「そう言えば、黒の教団に行くところだったんだっけ」
「あ、はい。ミュアも行くんですよね?」
「当然でしょ。だって私エクソシストだもん」
どや顔で応えた私にアレンはクスッと微笑んで「そうですね」と言った。
「じゃあ、早速行きましょう。ティムキャンピーによると、あともう少しらしいですから」
そんな風に早々に出発したのだった。
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