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道中、たまにアクマと遭遇して戦いながらも、数日後無事に目的地に到着した。
異常に高ーい所に黒色の建物が見える。
「……え。これもしかして登るの?」
「それしかなさそうですね」
「マジ…?」
いやいや、登れませんてこんなん。
「大丈夫ですよ。ミュアは僕の背中に負ぶさって、しっかり掴まってて下さいね」
というわけで、現在アレンの背中にしがみついて絶壁をよじ登っております。
ちなみに下を見るとクラクラするから絶対見ないようにしてる。
「はぁ、はぁ……」
アレンから荒い息が聞こえてきた。
「な、なんでこんなトコにあんなもん建てたんだ…」
「アレン、大丈夫? やっぱり私重いよね…」
申し訳なさそうに言えば、アレンはすぐにフォローを入れてきた。
「そんなことありませんよ! 僕は大丈夫です。鍛えてますから!」
そうこうしている内に、ようやっと崖を登りきった。
アレンは私を背中から下ろしながら、荒い呼吸を整える。
「ご、ごめんね。 大変だったでしょ?」
「へ、平気平気。 それより、やっと着きましたね」
アレンの視線の先をたどって、建造物を見上げた。
「ここが…」
「エクソシスト総本部…黒の教団」
「「………」」
途端に無言になる2人。
ティムキャンピーとドルチェの羽音だけがその場に響く。
だって…ねぇ?
ゴゴゴゴ…という不気味な効果音が聞こえてきそうな、独特の雰囲気を纏っているそれは、はっきり言ってこ・わ・い。
「話には聞いてたけど、なんて言うか雰囲気あるな…」
「……何か、幽霊出てきそう」
「やめて下さいよ、そういうこと言うの」
「だ、だって…」
露骨に怖がる私にアレンは、「とにかく、行ってみましょう」とトランクを持ち直した。
☆
入り口らしい門の前まで来てみたが、人っ子1人いない。
「どうすればいいんだろ?」
首を傾げていたら、そばを飛んでいたコウモリ型のゴーレムに気付いたアレンが声をかける。
「すいませーん。 クロス・マリアン神父の紹介で来たアレン・ウォーカーと」
「ミュア・アヴァンシアです…」
アレンの後ろに縮こまりながら控えめに名乗っておく。
「教団の幹部の方に謁見したいのですが」
スラスラと流れるように話すアレンは、年上の私よりも手慣れてる感がある。
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