第1楽章~黒の教団~

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《後ろの門番の身体検査受けて》 ゴーレムから聞こえてきたのは身体検査を受けろという指示だった。 私の「は?」とアレンの「え」というセリフが重なる。 「門番って…このデッカい顔?」 訝しみつつも、門番らしい顔面と向き合った。 「………」 「………えーっと」 「………どうも」 アレンが一声掛けるなり、ぐおっといきなり城門の顔が目の前に迫ってきた。 「ヒッ!?」 びっくー! 恐怖心から固まっているアレンに、私は女子らしからぬ悲鳴を上げて、文字通り飛び上がりアレンにしがみつく。 ピコ! 門番の両目から光が当てられ、スポットライトのごとく私とアレンを照らす。 そして、その大きな口を動かした。 「ふんふん…そっちのお嬢ちゃんは人間だな。で、もう1人は…」 「ぎゃあああ!! 喋ったあああ!! お化けぇぇぇ!!」 「大丈夫ですよミュア! お化けじゃありませんよ」 ただ怖いという一心で叫ぶ私を、アレンが苦笑いで宥(なだ)める。 ヴヴッ…。 門番は身体検査を続行させるが、ミュアと違って、アレンの姿が映らない。 バグかと思った瞬間、アレンの左目の上に逆さまになった黒い星印が明確に映る。 ブ──!! 突然門番の両目に×が浮かび、ブザーのような音が鳴り響く。 直後、門番が両目をひん剥いて叫んだ。 「こいつアウトォォオオ!!!」 「へっ!?」 気圧されるアレン。不穏な空気を感じてか、その顔色は悪い。 「こいつバグだ! 額のペンタクルに呪われてやがる! アウトだアウト!!」 「ぎゃああああああ」と叫びながら、両目から涙を滝のように流し、同時に鼻水も流出。 「ペンタクルはアクマの印!! こいつ奴等の…千年伯爵の仲間だー!!!」 「んなっ?」 狼狽(うろた)えているアレンを横目に、急に泣き出した門番に恐怖心が薄れた私は落ち着かせようとする。 「え、ちょ、なんでそんな結論に至ったの。アレンはアクマじゃな──」 ──ザッ! 城門の上に、1人の青年が現れた。 長い黒髪が風に靡(なび)き、明らかに殺意が籠(こ)もった目つきでアレンを睨み付ける。 アレンと青年の2人の視線が交錯した。 青年が細身の日本刀に右手をかけているところを見ると……あれ、絶対攻撃してくるよな? 「1匹で来るとは、いー度胸じゃねぇか…」 刺すような鋭い瞳で、相手は刀を鞘から抜いた。 ギラ、光に反射して鈍く光る刃先。
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