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青年から発せられる殺気はまさしく刃物だ。
「ちょっ、ちょっと待って!! 何か誤解されて…」
──ゾク。
静かな寒気が全身を駆け巡った。
「!! ミュア!」
言われる前に剣を取り出し、アレンとほぼ同時にイノセンスを発動させる。
大剣を盾にしてその場を飛び退く。
──ドンッッッ!!!
青年の一撃は非常に重く、速く、大地を抉った。
もろに私も巻き込んだ斬撃だ。
「なっ…」
衝撃の凄まじさが剣から伝わってきた。
防ぐために添えていた両手が痺れているのが分かる。
防御して尚この威力……。この人、強い!
左腕で防いだアレンを妙に思ったのか、青年が言葉を発する。
「……お前、その腕はなんだ?」
「……対アクマ武器ですよ。僕はエクソシストです」
「何?」
今度はアレンの後ろ、門番に睨みを利かせて怒鳴る。
「門番!!!」
「いあっでもよ、中身がわかんねェんじゃしょうがねェじゃん! アクマだったらどーすんの!?」
イノセンスの発動を解いたアレンが門番の顎を叩く。
「僕は人間です! 確かにチョット呪われてますけど立派な人間ですよ!!」
「ギャアアアァ触んなボケェ!!」
ギャーギャー言い合ってる彼らをどうしようもないので傍観する私。
「ふん…まあいい。中身を見ればわかることだ」
「!」
次の攻撃に移行しようとする青年は構えて物騒なセリフを口にする。
「この『六幻』で斬り裂いてやる」
あ、名前あるんだ。
って言ってる場合じゃないか。
ドンッ!
アレンを斬らんとばかりに突進した青年の左手──正確には、その手が握る得物──に、ジャラララッッッ!
鞭状にさせた私の蛇腹剣を巻き付けて、動きを止める。
すると予想通り、青年の注目はアレンから私に移った。
「……何の真似だ」
ギラリとした目つきに気圧されるが、負けじと強気な態度で接する。
「そ…っ、そっちこそ! 勝手に誤解して、いきなり攻撃して来たりして…危ないじゃない!」
「テメェには関係ねぇ。巻き添えくらいたくなかったら下がってろ」
「なっ…」
「ストップ!」
なんですってと言う前に私のセリフはアレンによって遮られた。
「僕は本当に敵じゃありませんし、クロス師匠から紹介状が送られているはずです」
それを聞いた青年の表情が変わった。
「元帥から…? 紹介状…?」
「ええ、コムイって人宛てに…」
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