第2楽章~預言が示す2人~

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「じゃあ…えっとその…。 よろしくお願いします、ミュア」 「こちらこそ。 アレンの後ろは任せて!」 2人で握手を交わし合い、微笑み合う。 アレンとミュア、正式にデュエットが結成された瞬間だった。 パチパチ~。 またもや拍手の音が鳴り響く。 「いいよいいよ~その調子! 頑張ってね2人とも!」 ……なんだかんだコムイさんが一番嬉しそうだ。 ☆ ──イノセンスって一体なんの事なんですか? アレンから唐突に発せられたその疑問は、コムイさんに本題を切り出させた。 「ちゃんと説明するよ。イノセンスはこれから戦いに投じるキミ達エクソシストに深く関わる話だからね。この事実を知っているのは黒の教団とヴァチカン。そして千年伯爵だけだ」 そう前置きをしたコムイさんの口から語られたのは現実離れした内容だった。 事の発端は、約百年前にあるキューブが発見された事から始まったそうだ。 イノセンス──『神の結晶』と呼ばれる不思議な力を帯びた物質。それが対アクマ武器であること。 キューブ曰く、一度は千年伯爵と戦い退けたが、世界は再び伯爵の手によって終末を迎えると。 ヴァチカンは対応策として黒の教団を設立し、イノセンスの適合者──すなわちエクソシストを集め始める。 しかし、伯爵もイノセンスに対抗してアクマを造り出してきた。 伯爵はイノセンスを破壊し、その復活を阻止しようとしているらしい。 んで、件のイノセンスはなんとノアの大洪水により、世界中に飛散してしまったそうだ。 黒の教団側も伯爵側も、イノセンスを集めているのが現状。 つまりは、実質イノセンスの争奪戦と言うワケだ。 ──私たちがこの聖戦に負けた時、終末の予言は現実になってしまう。 話を聞き終えたと同時に、大元帥が諭すように言葉を発した。 《戦え。それがイノセンスに選ばれたお前たちの宿命…宿命なのだ…………》 宿命。 その単語は、なんだか酷く私の心にのしかかったように感じられた。
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