30人が本棚に入れています
本棚に追加
教団のお風呂はめっちゃデカい大浴場だったことはさておき。
シャワーを浴びた私は睡魔と格闘していた。
半分寝ぼけたまま団服を着ると同時にばったりベッドに倒れ込む。
ふかふかのベッドは安らかに私を夢の世界へと誘った……。
☆
…………。
耳許を通り過ぎていく風が心地いい。
瞼を開けると、眼前には地平線まで広がっている麦畑。
『………』
どこだ…ここ。
麦畑の中央にポツンとそびえ立つ大きな洋館。
洋館のそばに曲線の木が植えられており、その木の下に私は立っていた。
なんで私こんなところにいるんだろ?
疑問に思うと同時に、鈍い頭が回転し出し、その答えを弾き出す。
ああ、これ夢か。
明晰夢──夢であることが明白な夢。
動かせる身体は存在しなくて、はっきりとした意識の中で、数人ではしゃぐ子どもたちの声を遠くに聞いた。
やがてその声とともに、景色が遠くなっていき──目が覚めた。
軽く揺さぶられる感覚に次いで、可愛らしい声で私の名が呼ばれた。
「……ア。ミュア!」
この声は……。
「リナリー…?」
まだ寝ぼけているのか、判然としない瞳で声の主を見上げる。
「おはよう、ミュア。朝方に起こしてゴメンね。でも、ミュアの武器が出来たから早く見せたくって」
「……え? 私の対アクマ武器、もう出来たの」
仕事早いな~コムイさん&科学班の人たち。
寝ぼけ眼をこする私はリナリーに手を引かれて、司令室へやってくる。
司令室、そこは無造作に積み上げられた本と書類の束の山だった。
「わー、スゴイ…」
色んな意味で。
最初のコメントを投稿しよう!