第3楽章~これが私のイノセンス~

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「あ、ミュアちゃんおはよー」 「おはようございますコムイさん。私の対アクマ武器ができたって本当ですか?」 コムイさんのもとへ書類の山を進む。 「うん、これがそうだよ!」 ジャーン!と言わんばかりにコムイさんは手元のギターケースからそれを引き抜いた。 長大な柄の先端にあるのは逆さ三角形の幅広な対称刃。 白銀に塗装された『槍』だった。 「これが…」 「うん。ちょっとイノセンスを発動してごらん」 「は、はいッ!」 コムイさんから槍を受け取り、それを天に掲げて叫んだ。 「イノセンス、発動!」 ぱぁ──ッ! 真白き光を放って、対称刃の両端の根元から鳥が翼を広げるように、小刃が現れた。 爪のようなその小刃は『鍔』と言って、槍が刺さり過ぎるのを防止したり、敵を引っ掛けて引きずり下ろしたりできる優れものらしい。 「原型の蛇腹剣も良かったんだけど、ミュアちゃん、扱いずらそうだったからね。槍にしてみたんだ。どうかな?」 試しにその場でクルクルと槍を回転させてみた。 ……すごい。すっごく手に馴染んでバトンでも扱うように感じられる。 「いい感じみたいです! ありがとうございますコムイさん」 ご満悦の感想を満面の笑みで表す。 「喜んでもらえて良かったよ。でもねミュアちゃん……この対アクマ武器にはまだいくつも機能があるんだよ!」 まだなんかあるのか。 楽しげなコムイさんの口から、この槍の性能が詳らかに語られる。 「はいまずここ!」 コムイさんの人差し指が差したのは、柄の中間より少し下の部分。 そこには、引き金をそのままちょっと巨大化したようなハンドルが装着されている。 「実はこの槍、対称刃に力を集めて銃のようにビームを撃ち出すことができるんだよ!」 「ま、マジすか…」 コムイさん曰く、そのトリガーは自由に操作可能で、遠距離でアクマを狙撃したり、近距離で砲撃を放ったりできるんだとか。 ……って、それもう槍じゃなくね? 「しかも、しかもね!」 「まだあるの!?」 コムイさんの話は長かったので簡単にまとめてみると…。 射撃の時の放出を応用して、槍をロケットブースターのように飛ばして飛行する事も可能らしい。 「そ、そんな事出来るんですか?」 「嘘だと思うならやってみなよ~」
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