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うーんとのびをして、廊下を歩きながらふと窓の外に目をやった。
教団はかなり高度のある場所に建っているため、日光を遮る雲すら眼下だ。
なので、窓からは眩しいくらいの日差しが差し込んでくる。
「…いい天気だなぁ」
「そうですね」
独り言に思わぬ返答が背後から掛けられた。
リボンタイを整えつつ、アレンが部屋から出てきたところだった。
「おはよー。アレンも食堂行くの?」
「おはようございます。ミュアもですか?」
「うん」
じゃあ一緒に行こうとなり、2人並んで食堂へ。
早朝にもかかわらず、食堂は結構すでに人がいっぱいで賑わっている。
「お次は何かしらー?」
昨夜リナリーから紹介された料理長のジェリーさん(♂)がムキムキの腕でデカいフライパンを振るう。
「おはようございまーす」
「ミュアちゃんじゃなぁい! アラん、この子も新入りさん? んまーこの子もカワイイわねー!」
「どうもはじめまして…」
カウンターから身を乗り出してきたジェリーさんにアレンは控えめに対応する。
「何食べる? 何でも作っちゃうわよアタシ!!」
「ミュア、先にオーダーどうぞ」
「え、いいの?」
「はい」
アレンは人懐っこい笑顔で言った。
なるほど、これがレディーファーストと言うヤツか。悪くない。
「えーっと、フレンチトーストとシーザーサラダとコーンスープとストロベリーサンデーお願いしま~す。あ、ドレッシングはフレンチで」
「了解~。 そっちの子は?」
ジェリーさんの目線が私からアレンに移される。
「それじゃあ…グラタンとポテトとドライカレーとマーボー豆腐とビーフシチューとミートパイと…etc.」
この後、さらにアレンはデザートとしてマンゴープリンとみたらし団子20本を頼んだ。
その量の多さに横にいた私はもちろん、ジェリーさんも驚いた程だ。
「あんたそんなに食べんの!? すごーい」
「アレンの胃袋は宇宙レベルだね」
「えー、そんな事ないですよ」
料理を待っている間にアレンと雑談していると、食堂全体に野太い怒鳴り声が響き渡った。
「何だとコラァ!!」
「!?」
自分がどやされてるワケでもないのに、思わず発声原を捜すべく振り向いた。
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