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「もういっぺん言ってみやがれあぁっ!!?」
「おいやめろバズ!」
なんだかよく分からんが、何やら一悶着起こしてもめているらしい。
「うるせーな」
パチンと箸を置く音。
その直前に発した声が水面に広がる波紋のように食堂に行き渡る。
「メシ食ってる時に後ろでメソメソ死んだ奴らの追悼されちゃ味がマズくなんだよ」
隣に六幻を立て掛けて、蕎麦を食べていたらしい神田だった。
「あれって神田だよね…? ケンカ?」
アレンは私の言葉に応えず、彼らのもとへサッと歩いて行く。
「メシかマズくなるだと───!!」
とうとうブチ切れた大柄の巨漢が神田に手を上げた。
しかしながら、振り下ろした拳は空振り逆に首を掴まれてしまう。
「『サポートしてやってる』だ? 違げーだろ。サポートしかできねェんだろ。お前らはイノセンスに選ばれなかったハズレ者だ」
ギリ…。
神田は冷たさを帯びた瞳のまま、巨漢の首を片手で締め上げ、無情にも言い放つ。
「死ぬのがイヤなら出てけよ。お前ひとり分の命くらいいくらでも代わりはいる」
巨漢を締め上げていた神田の手首を、アレンが握った。
「ストップ。関係ないとこ悪いですけどそういう言い方はないと思いますよ」
「…………放せよ、モヤシ」
モヤシ……??
「アレンです」
微妙な表情で反論するアレン。
「はっ。1か月で殉職(くたばら)なかったら覚えてやるよ。ここじゃパタパタ死んでく奴が多いからな。こいつらみたいに」
これまた嫌みったらしく言ってのけた神田にさらにアレンは力を込めて神田の手首を握り締めた。
ギリ、ギリギリ…。
その握力はゴズの首から神田の手を放させた。
私は慌てて駆け寄りずる、とその場に崩れ落ちたゴズを受け止める。
「だからそういう言い方はないでしょ」
「早死にするぜお前…キライなタイプだ」
「そりゃどうも」
両者睨み合い、火花を散らしている2人を為す術もなく見上げていると、私たちに声が掛けられた。
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