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──アレン、似合ってるよ!
そう言われて、向けられた笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。
そりゃそうだ。
こんなに可愛い女の子に微笑みかけられて、喜ばない男なんていないはず。とアレンは内心で釈明する。
ルビーのような緋色の瞳をしたぱっちり二重と、それを縁取る長い睫。
桜色の薄い唇。
キメ細やかな肌は搾りたてのミルクの如く白い。
ベビー・ピンクのロングを、頭の両端で結ばれたツーサイドアップは小柄な彼女の雰囲気にとても合っている。
ついでに団服とお揃いのベレー帽も、リボン付きで可愛らしさを演出。
足元を飾るのは、薄紅色のニーソックスに黒いお洒落なストラップシューズ。
三段ティアード状スカートとニーソックスの間から覗く、絶対領域がなんとも悩ましげだ。
ミュア曰わく、全てリナリーに見繕ってもらったらしいが。足のサイズまでピッタリとは。
改めてリナリーの慧眼に驚いた。
まあつまりそんな子が、隣から見上げてきたので、僕はとっさに視線をミュアから外した。
「あ、ありがとうございます。ミュアも似合ってますよ」
全く、どうしてコムイさんはこんなにも魅力的な子と僕を組ませたんだろう…。
人知れず溜め息をついたのだった。
☆
タタタタ…!
家々の屋根の上を走る3つの人影。
探索部隊(ファインダー)のトマ、神田と、「行きながら読むように」と言ったコムイさんの指示通り、本当に疾走しつつ、資料を読むアレン。
ちなみに私は創ってもらったばかりの対アクマ武器に跨がって、飛行している。
体力のない私みたいなか弱い女の子を走らせないで。
「古代都市マテール……」
「それが今回の任務の場所?」
ふわりとアレンの隣に滑空した私に彼が頷いた。
ゴォォォ…。
──見えてきた。黒光りする、蒸気機関車が!
「あの」
だんっ!
塀に片手をついて、鞍馬のように飛び越え、汽車に接近していく中、アレンが口を開く。
「ちょっとひとつわかんないことがあるんですけど…」
「それより今は汽車だ!」
電線を飛び越しつつ、神田が檄を飛ばす。
「お急ぎください。汽車がまいりました」
「でええっ!? これに乗るんですか!」
「無茶ぶり過ぎでしょ!?」
ホントまともじゃない、エクソシストの仕事って。
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