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ゴオオオオ!!
トマに促された私たちは、猛スピードで走る汽車に向かって飛び降りる羽目に。
まぁ、なんてドラマチックな展開なの!
涙出そう。シャレにならなくて。
ばっ!
私もパルチザンの飛翔(フライト)モードを解除して、アレンたちに続く。
めっちゃめちゃ怖いけど、こういうものは勢い任せで行っちゃった方が案外成功するものだ。
一瞬の浮遊感の後、ドサッと着地を決めた時には、汽車の屋根に転がっていた。
…なんのハリウッド映画だよ、これ。
「飛び乗り乗車…」
「人生初体験…」
ボヤくように言ったアレンに同意を述べると、屋根に這いつくばりながらも、トマはしれっと応答。
「いつものことでございます」
「いつものことなの!?」
私は反射的にマジレスした。
☆
屋根から車内へ失礼し、ストンとカッコ良く室内に降り立てる……ハズもなく。
──ドサッ。
思いっ切り尻餅ついて着地をした。
「いったぁ…」
スカートの上からお尻をさする私に、アレンが心配して手を差し伸べて来る。
「大丈夫ですか?」
「う、うん。ありがとう」
ごまかし笑いを浮かべて、アレンの手を取り立ち上がると、神田から手厳しいセリフが飛ばされた。
「……全く、先が思いやられるぜ」
「うっ…」
否定はしない。今んところ、私が一番足手まとい感があるから。
視線を落とし俯いた私に、アレンは笑顔で声を掛けてくれた。
「大丈夫ですよ。これから慣れていけばいいんですから」
「……うん!」
ほわんとしたアレンの人懐っこい笑顔も手伝って、私は力強く頷いた。
駆けつけた車掌さんは最初戸惑っていたようだが、私たちが黒の教団だと言うと、一等車両に案内してくれた。
「何です、今の?」
「あなた方の胸にあるローズクロスはヴァチカンの名において、あらゆる場所の入場が認められているのでございます」
と、トマが解説してくれた。何それスゴいな。ヴァチカンは何でもありか。
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