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おそらく、この変な物体が最近頻発している行方不明者事件の犯人だろう。
道理で……警察の手にも負えないワケだ。
これは人間じゃない。
直感的ではあるが、そう感じた。
何か…内から禍々しいオーラが発せられているのを察知できるからだ。
身体の芯からゾクゾクする感覚がした。
──私、殺されるのかなぁ。
数秒後の未来に怯えながらも、どこか他人事みたいにそう思った瞬間。
パアッ…──!
まばゆい光が箒のように長い尾を引いて、後方から飛んでくるのが分かった。
流れ星? 彗星?
いや──多分、どっちでもない。
流れ星だろうと彗星だろうと、こんな地上スレスレを飛んでくるわけがない。
ならばあれは一体──?
混乱の渦に立たされた私の手に、その光点は収まった。
握った感じ……熱くは、ないな。
放っていた光が徐々に薄れ、変わりにそれが形成された。
ギザギザとノコギリのように尖った刀身。
自分の背丈ほどもある、大剣。
白銀に光る刃以外は紫色(ヴァイオレット)の色で装飾されている。
「……剣?」
少なくとも、普通の学生では触れることの無い──大剣だった。
「なんでこんなものが……」
突如、目の前の化け物が銃口から火を噴き出した。
考える間も無く、手にしたその大剣を盾にして、砲撃を防ぐ。
「一体…何だって言うのよ!」
攻撃が一旦止んだ隙に土煙が舞う中を飛び出た私は、力任せにその剣を化け物目掛け、振るった。
「やあぁぁ!!」
──ズバァッ!!
飛び上がり、頭上から斬りつけて未確認物体を一刀両断する。
真っ二つになったその球体は、残骸と化し、地面に転がった。
どうやら…壊れた、らしい。
「はぁ……はぁ…っ…」
意味が…分からん。
この物体は何?
そして、私のもとに飛んできたこの剣は……?
辺りに漂い出す煙の中で、様々な疑問を頭に巡らせながら、私は──意識を失った。
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