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制服に身を包んで、鞄とギターケースを背にしょって、学校に向かう。
一応、木箱はギターケースにINしている。
「結局、何がしたかったんだろうクロスさんてば……」
開かずの木箱と使えないキーを手にしてから一晩たったが、未だ謎は解けていない。
「どーすればいいんだろーな」
モヤモヤを抱えたまま学校に着き、「エクソシストになるから」と自主退学して家に戻って荷造りをする……ハズだった。
が、思った以上に手続きが長引き、さらに学校に置いていた私物も家に持ち帰らなければいけなかったので、またまた帰宅するのが遅くなってしまった。
「また遅くなったし……まあでも今夜は何もないでしょ」
……と、思ってたんだけど。
「こんばんは。 エクソシストの見習いちゃーン」
「あんた……まさか……」
デカくて、メタボな体型が特徴的なずんぐりむっくりしたその人物は──千年伯爵!!
「なんで…」
いや、それよりも……どうやらこれって、いわゆる大ピンチってヤツ?
「うふふ~。 邪魔なエクソシストはここで消しちゃいマショ!!」
手にした傘を振り上げた伯爵の背後に、一斉に球体のアクマが現れる。
「なるほど。ここで待ち構えていたってことね!」
ギターケースから大剣を取り出し、いつでも戦闘に入れるように構える。
「でも妙ね? 私みたいな、たかがエクソシスト見習いをあなた直々に殺しに来るなんて!」
ぐ。
大剣をバッドのように構えた姿勢の私は、挑発的に言う。
「ずいぶん余裕デスねぇ~。 我輩のキライなタイプデス」
「お褒めの言葉どーも、伯爵さんッ!」
大剣を両手に握り締め、襲い来る弾丸の間を縫って勢い良く跳躍する。
「──やっ!」
ザシュッ!
まずは1体目。横薙(よこなぎ)に剣を払って斬りつけて破壊する。
「2体目!」
両手首を切り替えして、ゴルフのショットのように真下から上に振って、斬撃。
爆発音とともにアクマが残骸と化す。
3体、4体と着実にアクマを壊していく中──伯爵はふと上を見上げた。
……?
妙に感じた私も伯爵の視線の先をたどる。
そして、私の目に映ったのは、大量のアクマの姿。
雨霰のごとく、次々と空から姿を出現させるのだ。
「……そ、そんな」
こんな大勢のアクマ…私1人で破壊できるの?
答えは、否。
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