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  パシンッ!!! 貴子は涙目で初めてキツク淳を睨み付けていた。 淳は叩かれた頬より貴子の初めて見せた怒りに 一瞬呆けたようになって・・・。 貴子はそんな淳を押しのけて、駆け出す。 だが、淳もすぐに正気を取り戻して、 貴子の腕に手を伸ばす。 「おいっ!!!」 掴まると思った瞬間、ふわりと身体が浮き上がり 大きな胸に優しく包まれる。 パンッと後ろで手を弾く音が聞こえた。 見上げた先に優しく微笑む籐谷の顔。 「やあ、My Sweet。大丈夫かい?」 驚きより安堵が勝り、ふぅと肩の力が抜ける。 そんな貴子を籐谷は甘く見つめ 貴子の頬を伝う涙を優しく綺麗な指で払う。
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