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だが、そんな貴子を咎めるように
淳の冷めた声が貴子の背を貫く。
見なくても分かる。
淳は今烈火のごとく怒っている。
「・・・どなたでしょうか?
とにかく、妻から離れて貰えるか?」
籐谷はビクッと肩を揺らした貴子を腕で包み
ソッと背を支え、淳からゆっくりと遠ざける。
そして、真っ向から対決姿勢を示す。
「できませんね。」
「・・・」
僕は、と藤谷はいつもの飄々とした様子で話す。
「藤谷と言います。
現在、貴子さんの雇主、といった所でしょうか?
とにかく、そんな訳で彼女を保護する立場にあります。」
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