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私は、と言い返そうとする淳を遮るように
それに、と藤谷は付け足す。
「普通、泣きながら逃げる女性を
無理やり連れ去ろうとしている男がいたら、
相手との関係性は関係なく助けるのが
男として当然でしょう?」
とにかくっ、と淳は声を尖らせる。
「俺の妻からとっとと離れろ、と言っている。
意味、通じているか?」
フッと藤谷は笑って、
遠巻きに様子を伺っていたタクシーを呼びつける。
そして、貴子が入口に置いてけぼりにした紙袋と一緒に
貴子をタクシーに乗せた。
「・・・・・・でも・・・」
躊躇い、見上げた貴子を藤谷は優しく撫でた。
「大丈夫だからそんな顔しないで、My Sweet.
ここは僕に任せて、帰りなさい・・・」
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