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  藤谷は貴子に答える間も与えず、 静かに扉を閉めると、タクシーのボディを叩く。 それを合図に出発したタクシー。 心配で振り返った貴子に微笑み、手を振る藤谷。 そして、その後ろで・・・。 唇を噛み、悲し気にこちらを見つめる夫の顔。 悲しいような・・・ それでいて、モヤモヤするような・・・ 沸き起こる不快な感情。 その全てから逃げるように 貴子は目を逸らして、ギュッと閉じた。
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