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  退院後、資料を借りるために 週に2,3度訪れるようになった歩の会社。 最初は渦のように多くの人を飲み込むのが怖くて 1人で入る事が出来なかったビルにも慣れた。 それに、オロオロするばかりだった 凄いスピードで行き交う人の波も うまく避けれるようになった。 ・・・と思う。 一揃え、自分で持ち帰られるだけの資料を集め 歩の元へ急ぐ。 それでも、やっぱり貸出し簿を付けた歩は 荷物を運んでくれようとする。 「タクシーまで付き合うよ。」 貴子は歩の優しさに微笑む。 「このくらいの荷物大丈夫よ。 タクシーはもうすぐ着くし。 下まで運ぶだけだもの。」
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