7人が本棚に入れています
本棚に追加
弐
退院後、資料を借りるために
週に2,3度訪れるようになった歩の会社。
最初は渦のように多くの人を飲み込むのが怖くて
1人で入る事が出来なかったビルにも慣れた。
それに、オロオロするばかりだった
凄いスピードで行き交う人の波も
うまく避けれるようになった。
・・・と思う。
一揃え、自分で持ち帰られるだけの資料を集め
歩の元へ急ぐ。
それでも、やっぱり貸出し簿を付けた歩は
荷物を運んでくれようとする。
「タクシーまで付き合うよ。」
貴子は歩の優しさに微笑む。
「このくらいの荷物大丈夫よ。
タクシーはもうすぐ着くし。
下まで運ぶだけだもの。」
最初のコメントを投稿しよう!