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  でも、と食い下がる歩だが、頷く訳にいかない。 歩は貴子が倒れた事が余程心配だったらしく 最近、貴子につきっきりだ。 その上、歩の他の仕事もちょうど過渡期のようで 深夜遅くまでずっと働いている。 いつも疲労を人に見せない彼女だが、 その顔にうっすら疲れが滲んでいる事を 貴子は知っている。 ありがとう、と微笑むと歩は渋々頷き、見送った。 西出口を出ると、ふぅと紙袋を一度足元に置き 来ているはずのタクシーを探す。
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