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    「・・・貴子・・・」 聞き慣れた声で呼ばれた名に 恐る恐る貴子がそちらを見ると 淳はどこかホッとしたような顔で貴子を見つめる。 仕事人間の淳が平日昼間に 自分のために時間を割くわけがない。 貴子はそんな確信があった。 何も答えず、茫然と自分を見つめ、立ち尽くす妻に 淳はいつもの様子に戻り、腹立たしささえ滲ませる。 「・・・全く・・・、どれほど・・・」
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