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淳は一度静かに息をつくと、穏やかに言い聞かせる。
「とにかく、家に帰ろう。話はそれからだ。」
”家”という言葉に反応して、吐き気がする。
次第に動悸が激しくなり、目眩がしてきて
パニックになる。
気がついたら、叫んでいた。
「イヤですっ!!イヤッ!!!」
淳はそんな貴子を持て余した様子で怒鳴る。
「落ち着けっ!!」
力任せに押さえつけられて、
ボロボロと泣き出した貴子に淳は弱り切る。
「・・・違うんだ。お前の勘違いだって・・・。
アレは・・・、あの手紙は違うから・・・」
崩れ落ちそうになる貴子を淳は戸惑うように
ぎこちなく抱き寄せる。
「・・・悪かった・・・。
だが、本当に違う・・・。そういうのでは・・・。
アレは・・・、その・・・。
美奈はな・・・」
その瞬間、血が逆流したみたいに
全身をバッと暴れて・・・
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