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壱
ぼんやりと病室で資料を眺める貴子。
昨夜、兄嫁から来た電話をずっと考えていた。
「もしもし、貴子ちゃん?大丈夫なの?!」
突然そう電話口で捲し立てられて、貴子は戸惑う。
「・・・え?・・・あ、はい・・・?」
そう、と兄嫁は息をつくと、事情を説明し始めた。
「淳さんから電話があって、喧嘩して
貴子ちゃんが飛び出してしまったっていうから・・・」
え・・・、と淳の予想外の行動に言葉を失くす。
落ち着いて、と兄嫁はすかさず宥める。
「私が電話とったから・・・。
あの人にも、おばあちゃんにもまだ言ってないわ。
もし、知れば、あの人、何するか分からないし・・・」
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