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…言った。
ついに言ってしまった。
ついに、この気持ちを、彼に伝えてしまった。
その自覚が追いつくと、さっきまでそうでもなかったのに、途端に緊張が募り心臓がバクついてきた。
しんと静まりかえる部屋の中で、もう俺には自分の心音しか聞こえない。
早瀬さんは目を軽く見開いたまま、俺を凝視している。
どれくらい沈黙が続いただろうか。
さすがに俺も気まずく感じ始め、頬が熱くなりだした頃。
早瀬さんがおもむろに唇を開いた。
「…お前が、俺を、好き?」
「は、はい」
「それは、告白、というやつか…?」
「…そうですね、いわゆる愛の告白、ってやつですね」
「愛…」
そう答える俺ももうやけくそに近い(なんかが振り切れたんだろう、多分)
対する早瀬さんは、何やら神妙な顔で考え込んでいる。
彼にしてみればあまりに突然の話で、困惑しても無理はない。理解が追いつかないのだろう。戸惑わせてしまったことは申し訳なく思うが、それでも一度出た言葉は戻らない。
「困らせてしまってすみません。でも、知っておいて欲しかったんです」
あなたに。俺の気持ちを。
「…良ければ、あなたの気持ちも聞かせてくれませんか」
正直に思っていることを伝える。今更隠し立てすることは何もない。
そう覚悟を決め、早瀬さんの反応を待つ。
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