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「し、知ってる。聞いた。だが俺は何も用意できていない、さっき言った通りだ。悪いが諦めろ」
「ちょちょーい!だから待ってってば!」
すぐに抜け出そうとする早瀬さんを、引き止める。お互いに必死である。
早瀬さんがキッとこちらを睨んだ。
「だいったいお前がもっと早くに俺に誕生日を教えていればこんな無様なことにはならなかったんだ!あのわけのわからない女のわけのわからない手紙で知ったんだぞ俺は!なんであの女が知っていて相棒である俺が知らないんだ!」
「え、ええ…それはだってわざわざ言うことでもないかなと思って…」
ていうかそれってもしかして嫉妬ですかそうなんですか!…とは聞けねぇけどな!(チキン)
「とにかく。プレゼントなんざ用意してない」
「それは聞きましたし、早瀬さんが俺のことをすっげぇ考えてくれたこともわかってます」
「そんなことは一言も言ってないだろうが!調子に乗るなよ相良の分際で!だいたい良い年して誕生日がなんだ!退け!」
ダメだ。一度照れてしまった早瀬さんは完全に意固地になってしまっている。
本当にこのまま帰る気だ。
でも俺はどうあっても引き止めたい。
だってここで帰してしまったら、全てがまたうやむやになりそうだ。
認識の違いは否めないが、せっかく"恋人"というポジションを得たんだ。
それをみすみすなかったことになんかしたくない。
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