プロローグ

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プロローグ

また同じ夢を見た…とてもとても幸せな夢。 私には家族がいない。 そんな私に唯一残された幸せな夢。 幼い時に事故で両親を亡くし、それからずっと施設で育った。 事故後の記憶は、はっきりと覚えてるのに。 それ以前の記憶が全くない。 幼い時に行った場所も、思い出も全てなくした。 事故にあってから見る夢はとても幸せな時間を与えてくれる。 一人で泣いている私に呼びかけてくれる。 「笑理、どうしたの?大丈夫、笑は一人じゃないよ?僕がいる。」 そう言ってくれる彼は全く知らない。 自分が作った想像の人物かもしれない。 だけど、そんなこと考える必要がないくらいに私に幸せな時間をくれる。 夢の中の彼は、背が高くて、髪がサラサラで少し長め、色が白くて、優しい笑顔で私を包み込んでくれる。 実際にこんな人がいてくれたらいいのにって思ってしまう。
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