第1章

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寝てしまった…… 俺、加山 錦司-かやま きんじ は、 パン屋で働く正社員なりたて1年目の19才になる。 男として低めの160センチ前半の、最近ぽっちゃりから、1年で激やせしたと友人に言われる程の細身者である。 一度も染めたことのない厚くきらびやかに輝く髪は、伸びるともっさもさなため、坊主一歩手前な刈り上げ少年である。 顔は平凡で、平凡キャラを言い張るイケメンと言うことは、全くない。 そんな俺は中学高校とありきたりな毎日を過ごし、ちょっぴり、いや、ギリギリな感じで今働く職場に就いたのだが、やらかした…… 気づいた時にはもう遅いのではなかろうか? そんな言葉が俺の頭の中を駆け巡り、瞬時に眠気全快の頭に活を入れ、目を開き、ポケットごしに入れたであろう携帯に目を移す。 「17時か……!!」 俺が休憩に食堂へと来たのは、確か13時を過ぎた頃、完璧に寝過ごした。である。 ヤバイな…… この職場には主がいる。そう、男で言うなら、閻魔、女性で言うならふむ、お局様か…… 店長すらもその方にはなにも言えないと言う、寧ろそんな職場で大丈夫か?と言いたいところであるが、働き始めてまだ1年、グッとこらえる毎日だ。 そんな方がいるこの職場、ましてその方が出番の日に寝過ごしたとなれば、俺としたらかなりの一大事である。 まずいと俺は、携帯をもとのポケットにしまい、職場に戻ろうとしたときであった。 「はて?ここ…何処だし?」 漸く気づいたと言うか、今の今まで気づかなかった俺を叱りたい。 周りを見渡すことをしなくても、すぐにわかる程のいちめんに広がる木々、地面には、青々とした草が、生い茂る。 木々の隙間から、陽射しがあたり心地よさすら感じる。 暑さからか、はたまた冷や汗からくるものか、俺の額からひんやりと汗が頬へと垂れ落ちた。 どうする……いや、まてまてまてこの状況はなんだ!! あれか、あれなのか寝すぎな俺にあの方が到来して、お前はもうよう済みだと言うように森に置き去りに…… 待て、それはあまりにも非道だし、ましてやわざわざここまで連れてくる意味なくね? だ、駄目だ……あまりの現状に思考回路がいかれてる。 と……とりあえず、この状況をどうにかしなければ……
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