第1章

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まずは連絡手段……だよな?徐にポケットに手を突っ込み、携帯を取る。 「……圏外、か……。」 俺の嫌な予感は見事に当たり、思わず携帯を強く握りしめた。 「お~い!!誰かいないのかー!!」 次に出た俺の行動は、声を出すことで近くの人に知らせるというものだった。 何度か挑戦するもこれまた、近くに人がいないのか、無駄に終わった。 「……ケホッ…ちくしょう……。」 周りの木々がそよそよと風に揺られ、 まるで嘲笑うかのように思え、今の俺にはそう見えて仕方がなかった。 あれから何分経っただろうか? あの後携帯の電池も切れ、近くの木々に八つ当たりのごとく投げ、運悪く近くの大きめの石に当たり、スクラップ状態だ。 そう、スクラップ状態である。この時の俺には、そんな事はどうでもよかった。 時間が経つにつれ、腹が減りなんとか行動しようと言う気持ちは薄れつつあった。 次第に辺りは暗くなり始め、さらに悪状況になりつつあるのだが、俺は木々にもたれかけ、動こうとしなかった。 ハハッ……もともとデブぎみだった俺が、1年足らずで痩せたところで体力にかわりはないのだ。 あれだな、人間1日2日飲まず食わず大丈夫なんて人それぞれだって実感した。今の俺がそうさ…… まだ1日は経っていないだろうが、早くも空腹を越えて、そこは大丈夫な気もする。だが、水分が足りない。 大声を出した後、食糧は無いものかと辺りを探し回ったが、特にこれといったものは無いし、近くに川や湖など、見つからなかった。 俺に探す知識も手掛かりもない。 あぁ……こう言う時って良く昔話とか友人家族とかのことを思う、それは正解だ。 今俺の頭には、中学や高校の友人や先生、父さんに母さん、妹の姿や出来事が駆け巡った。 とても懐かしい、それでいて皆に会いたいと言う気持ちが強くなった。 俺の眼に無数の涙が浮かんでは頬を伝う。 「あ゛あ゛……」 生きよう、死ぬにはまだ、早い。 そして何より皆に会いたい。 俺は何時間かを経て重い腰を上げるのであった。
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